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果たして今週の市況は!


2008年1月27日(日)



 ★サブプライム問題の解決策見えず
-――――――――――――――――――――――――――――[kabu104.com]


 アメリカ国内では、GDP1%に相当する金額を景気刺激策に使用するとし
て、「経済の側の政策発表」が行なわれたが不発に終わった。逆に不満の声を
増発させてしまい、さらに事態を悪化させてしまう。


 その上に更にアメリカの中央銀行に相当するところ(経済の行き過ぎを抑え
るための政策を行なう=金融)が、定期的に開かれている会議を待つことなく、
異例の政策金利の引き下げ、しかも引き下げ幅が0.75%というビッグなニ
ュースが流れてきた。


 だがこれも、否定的な意見が占めてしまう。何故中央銀行はワタワタしてい
るのか。強力なリーダーシップが見られない、などと酷評だ。


 さらに格付け会社が、お金の潤滑油の供給源たる会社(金融保証保険会社)
の内の1社を格下げした。これらの会社は地方債の保証を引き受ける会社で、
アメリカ国内でも大手が数社ある。日本政策投資銀行のレポートによれば、ア
メリカの地方債の約50%(2003年現在)をこれらの会社が占めている。


 債務者(お金を借りて、長期間支払う人)が債務を返済できなくても、金融
保証保険会社(以下mono line=モノライン)が立て替える、という仕組みだが、
ここまで地方債のシェアが大きいと、その重要性が伺える。しかもその格付け
がトリプルA(最上級)なのである。


 地方政府はモノラインをつてに債券を発行し、高格付けによる低利な金利で
起債することが出来、無事資金を回収するのである。またモノラインを通じて
投資した投資家も、トリプルAを信じて投資を行ない、無事資金を回収できる。


 そのような、アメリカ経済にとって重要な立場にある保険会社の格付けが、
低下してしまったのである。つまり、モノラインが扱う債券も格付けが下がり、
保有者は評価損が発生する可能性がある。


 モノライン経由で間接的に地方債を買った投資家は、再評価を迫られる。購
入者は銀行だったかもしれないし、証券会社、生命/損害保険会社、または、
個人だったかもしれない。それらの多くの金融機関が資産の再評価を迫られて
いる。


 このような、広範に及ぶと見られている今回の格付け低下の原因は、サブプ
ライム問題となる。モノラインが保証した資産担保証券という証券がサブプラ
イム問題の波を正面から浴びた。その結果、モノラインの資産が劣化した、と
いうわけだ。


 アメリカの大手金融機関は増資を発表。大幅な資本増強を行なうようだ。当
初の目論見(もくろみ)より悪化する量が多く、完全に守備に回っている。い
ままでの攻めの経営の面影はほとんど見られない。


 そうなると、投資行動が鈍るということは、すでに投資しているお金を引き
上げる行動に繋がる。損失の拡大を避ける=リスクの回避だ。「リスクの回避」
という言葉は、連日マスコミをにぎわせている。つまり円買いだ。


 円は低金利なので、低金利の円を買い、円で高金利商品を買うことで利ざや
を稼ぐ。少し前までは専門家のプロの手口だったものが、為替の開放、手口の
公開、業者の競争激化などで個人が手掛けやすくなっており、日本でも盛んに
外貨への投資が進んでいた。


 ところが、円や株式市場は、世界中の投資家から忌避され始めている。世界
中の株式市場のなかで一番上昇しない市場、円もいつ金利が上がるかもしれな
いという金利リスク、などで徐々に外国人は円キャリートレード量を縮め始め
ている。


 サブプライム問題が綺麗にならない限り、ビクビクした展開が続くことだろ
う。アメリカ政府の側では、サブプライム問題をそのままにして、お金の回り
を良くすれば景気が回復して、自然と不良債権が減っていくではないか、とい
う理論に陥っているのではないかと勘ぐりたくなる。


 今後の米国市場のチェックポイントとしては

「モノライン問題で、安全視されてきた債券(地方債)にも投資資金を振り向
けられなくなる可能性がでてきたこと」

「サブプライム関連で、更なる財政出動などが行なわれれば、かつての日本の
ように政府の財政悪化を招いて、アメリカ国債の格付け低下を招きかねない」

「株式市場も、サブプライム問題が広がることで、良い決算を期待できなくな
る会社が増える懸念がある」

「株も債券も懸念が広がった場合の代替投資先として、金や原油市場へ資金が
流れ続けて、価格の過去最高の更新がしばらく続く可能性がある」

「リスク回避の目的でドル安&円高が継続する可能性がある」


 以上の環境では、日本株式市場が好転する理由は少ない。国内に独自な材料
を持つわけではなく、更に景気が弱含みに向かっていることを示唆するデータ
がいくつか出ている。


 日本銀行も世界に歩調をあわせて、金利を引き下げろという論調も見られる
が、金利の引き下げは日本経済を刺激する可能性よりも、円キャリートレード
を更に増進しかねない問題がある。また、現在でも十分に低金利であり、低金
利を長期間続けたための副作用も、更に増幅させかねない。


 外需(輸出)がエンジンの日本経済。中国への輸出がアメリカへの輸出を超
えるというほど、発展途上国への依存度が高まっている。ここで円高が更に進
むと外需も先細ってしまう恐れがある。貿易上、円高は不利だ。


 来月東京で開かれる、先進7ヶ国財務省・中央銀行総裁会議で、どのような
結論が引き出されるのか。見守ってまいりたい。


  ■今後のポイント
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 格付け会社による商品の格付け、および会社の格付けは、まだ続いています。

 今回のモノライン(金融保証保険会社)の格下げについては、様々な物議を
呼んでいます。また、サブプライム問題についての真剣な討議がようやく表面
化して来ました。

 景気の鈍化など、間接的に日本経済も影響を受け始めている気配があります。
サブプライム問題は他人事ではなく、ですが当事者のように目先のことばかり
にとらわれ過ぎず、投資戦略を見定めていきたいところです。





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※このページでは私の資産運用表を載せていましたが、人のお財布と合同運用となったため、公表を控えさせていただきます。